kiriban novel〜thanks1000hit

夢は普通に見る。
だけど、それがたまに現実になる。


『予知夢』


その日の夢の中の状況がとても気になって仕方なかった。
見慣れない、そして一生見ることはないかもしれない不思議な空間。
夢を見ている時でさえ、これは『予知夢』なのかもしれないと感じた。

周りはぼんやりしていてよく分からない。
夢の中の自分は壁に描かれている何か≠ノ手をかざし何か≠言った。
直後、辺りは光り輝き、俺は目をつぶった。

そこでハッと目が覚めた。
決して広いとはいえないが、一人が寝起きするには十分の部屋。

「起きたら居間に」

それがこの家の主、クラウザ・ディスペルス唯一の命令だった。

この家は中2階建て。
今俺がいるこの部屋はさらに上の屋根裏部屋で、俺の部屋とし て与えられている。


俺がこの家に来てから約1ヶ月。
あの日クラウザにやられて以来、ここにいるはめになった。


本当ならもうすでにやるべき事≠しないといけないのだが・・・
あの人の魔法の効果が完全に消えてなく、しかもそのクラウザって男、魔法士の間では結構有名らしい。
色々と話も聞きたかったし、魔法を教えるって言うから、療養も兼ねておとなしく居座っている。
逆らった後が・・・まぁ怖いから・・・ではない。



いつも起きてすぐ居間に向かう。
2つ階段を下りたその先、そこにはすでにクラウザの姿があった。

「あぁ、おはよう。シャイン」
「・・・おはよう・・・ございます」
「起きるのが大分早くなりましたね。今日も外で魔法をコントロールしてみましょう」
「・・・はい」
でも今日も上手く出来ないと思う。きのう試してみてもやっぱりうまくいかなかったし。
急に今日出来るはずがない。

・・・あれ?そういえば、なんか静かな気が

「テリアならもう外に行ってますよ。シャインも支度をして早めに外に行くように」
「・・・・・・・・」

無意識なうちに探していたのだろうか、それとも会いたくない思いが伝わったのだろうか。

この人・・・なんか苦手だ・・・



一日は早く、太陽の変わりに月が辺りを照らす。
疲れきったシャインは、部屋に入るなりすぐにベッドに横たわる。

今日もやっぱり上手くいかなかった。
炎系の魔法の時は、急に炎が大きくなったり小さくなったりした。
氷系の魔法の時は、あやうくテリアを氷づけしそうになって散々なめにあった。
でも、徐々によくなってきていると体で分かるようになった。

早くこの家から出て、行かないと・・・
もう、あんな思いはしたくないから。

ゆっくり目を閉じると、そのまま、眠りについた。

過去の記憶と想いを閉じ込めたくて・・・


あとがき
狸さんのリク小説です。
遅くなってすいません・・・しかも前編だけだし(汗)
小説にするにあたり、リクの内容とは微妙に変えさせていただきました。
そのへんは許してくださいまし(○△○)
ちょっと過去話が出てきてますが、そのうち連載小説の方でやりますので・・・
過去に何かがあったということでお待ちくださいm(_ _ )m
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