一人寂しい年越しを迎えようとしているのはフェイト。
来年になるまで、あと少し。
「あと1分か・・・そろそろ・・・」
時間を確認するや、その場に立ち上がる。
去年も一昨年もその前も、ずっとやってきた。もちろん今年もするに決まっている。
あの30秒。
今年もいろいろあった・・・ま、来年も似たような年になるだろう。
「あと・・・・5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・」
0となる時、年を越す瞬間に、その場所でジャンプをする。
着地した時、すでに“来年”が“今年”になっている。
「よし!今回も年越しの瞬間地上にいなかった!」
いるいる、こういう人。
全く・・・何やってんだか・・・
あ、ヤバイ・・・くしゃみが・・・・・
くしゅ・・・っ!
「ん?」
今外で何か聞こえたような・・・?
窓を開けてさりげなく下を見れば、
『あ』
うずくまっているシャインと目が合い、上手い具合に声がハモる。
「な、なんでシャインがいるんだよ!」
「いや、テリアに頼まれていろいろ持ってきたんだけど・・・・・何やってるんだよ・・・」
もしかして今の・・・?
―見た?
と目で問いかける。
すると、
―見た
と目で返事が返ってきた。
「い・・・言うなよ!みんなには!」
フェイトの顔がだんだん赤くなっていく。
まぁそれは、部屋の中が暑いから、ということにしておこう。
「はいはい、じゃこれな。それと、あけおめ。じゃあな」
シャ・・・シャインがあけおめ!?キャラが違うだろ!!
「何だよその返事は!お前そういうキャラじゃないだろ!?」
「まぁその・・・お正月だし、新年だし、戌年だし」
「はぁ!!??」
―はっ!!
「・・・・・・・・・・」
「あ、フェイト起きた?もうすぐ年越しなのに寝てたよ〜」
へ?もうすぐ年越し?
そこはフェイト一人だけでなく、テリア、ブリーズ、そしてシャインもいる。
「もしかしなくても・・・今のは夢!?」
「何?どんな夢見てたの?」
「いや、シャインがありえなかった・・・」
「えっ?俺!?・・・どんなだよ、ありえないって・・・・」
「あ!もうすぐ年越しですよ!」
5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・
『あけましておめでとうーー!!』
結局、全てが夢オチ。
まぁ、フェイトがアレをやっていたことは夢の中だけじゃないけど・・・?
今年はどんな年になるのか。
もしかしたら年越しは、フェイトの夢の通りになるかもしれない。