想イデ-3-Think about〜想い〜

ある日、誰かの声で目が覚めたシャインの目の前には、2人の姿があった。

一人はウェイス。そしてもうひとりは…


「おはよ。もう昼だけどね」
「なっ!何でエリエがいるんだよ!」

もう一人は【エリエ・イミトス】。彼女も俺と同い年でウェイスの幼馴染だが…

「だって、課題手伝ってくれるっていうから待ってたのに来ないんだもの。だから様子見に来たんだけど…」

やばい…忘れてた…

「その顔、どうやら忘れていたようね」
「ご…ごめん」
「だけどエリエ、そんなに課題多いのか?」
「多すぎだよ!先生も、もう少し課題の数減らしてくれればいいのに…」

エリエは今魔法学校で日々勉強している。
俺も魔法の事を勉強していたから、たまにエリエの課題を手伝っている。
そういえば、俺が図書館で待ってろって言ったんだっけ…

「エリエ、今から支度していくから先に行ってて」
「うん、分かった。ウェイスはどうする?一緒に行く?」
「行きたいところだけど、オレ今日仕事あるんだ。2人で行ってこいよ」
「休みなのに仕事あるの?忙しいんだね」
「まぁ楽しいからいいんだけどね。じゃ、オレ行くから」
「それじゃ私も。シャイン、早く来てね」

分かったと返事をし2人を見送る。
エリエと課題をするのは嫌ではない。むしろ、今の魔法について知る事ができるから面白いぐらいだ。
気持ち急いで身支度をし、図書館へと足を進めた。



図書館はこの町の中心にある。
俺の家は中心からは外れているが、そう遠くない距離にある。
道は人々の声でにぎやかだった。
前にウェイスを追いかけたときもそうだったが、何人か俺に話しかけてくる。
「一緒に遊ぼう」とか「お出掛けかい?」とか。
確かに急いでいたが、話す余裕はあった。
何人かと他愛のない会話をし、再び図書館へと向かう。


俺がそこに着き、エリエに声をかけ…

「遅い」

帰ってきた言葉がそれだった。

「…ごめん」

なんか謝ってばかりだ。
エリエは怒ることはせずに続けた。

「なーんてね、冗談よ。私だってさっき着いたばかりだもの。
それに、無理言って手伝ってもらってるんだし、文句なんかないわよ」
「別に無理とかの話じゃ……なんで笑ってんだよ」

エリエは俺の顔を見てクスッと笑う。

「さて、どうしてかな?」
「…頼むから、ウェイスみたいにはなるなよ」
「はいはい」

エリエはずっと笑っていた。
その笑顔はとても温かくて、心地よくて、安心する。
彼女は俺にとって温かい光
俺は、この雰囲気が好きだった。




課題が大体終わった時、外は茜色に染まり、空は夜の準備に追われていた。

「あ・もう暗くなるかな?課題も後これだけだし、残りは家でやるよ。ありがとう」
「どういたしまして」

俺たちが外に出たとき、町は茜色を失い、変わりにオレンジ色の灯が現れ色ずく。
それに負けじと星たちは輝き、満開に咲いた月は辺りを照らす。
エリエの家は俺の家と方向は同じだが、エリエの方は町の中心にある。
ちょうど俺の帰り道にあるので、送っていくかたちになる。

帰るときも魔法の話をした。
得意の魔法、苦手の魔法、そして何より興味があったのは「闇魔法の中和」話だった。
魔法を使うものでやはりいるのが、魔法を悪用する者である。
あらゆる精霊魔法を使い闇魔法を体に蓄え、犯罪に手を染めるものだっている。
そこで開発されたのは「闇魔法の中和」をする魔法だ。
さすがに完全には中和できないしいが、ある程度中和できるとあってさらに研究は進んでいる。
どういう理論があって中和をするのか、エリエには難しいらしく内容は覚えていなかった。
そして驚いた事は、『地上』に「闇魔法を取り除く魔法」があるということだった。

「違うよ。あるかもしれないって話」
「でも、そんな情報どこから来たんだ?」
「うーん、私も先生達の話をちょっと聞いただけだし…明日聞いてみようか?」
「いや、いいよ。少し気になっただけだからさ」

俺には半分だけど魔族の力が入っている。だから強力な闇魔法だって使えると思う。
でも、そんな力は使いたくない。だからこそ、その魔法の事が気になったんだと思う。




そんな事を考えているうちに、エリエの家に着いた。

「送ってくれてありがとう」

今日はもう会えない。

「またね」

もっと一緒にいたい。
もっと傍にいたい。
離れることを、この気持ちは許さない。

「…?シャイン?」

とっさに出た右手がエリエの手を握っていた。
とても温かくてやわらかくて。
この手を離したくなかった。

時間が止まればいいと願うが、時は確実に進んでいく。
仕方なく、俺はゆっくり手を離す。

「…何でもない。また…な」
「…うん」

エリエが家に入るのを最後まで見届ける。
名残惜しい手はぬくもりを残したまま居場所を探し、足は、なかなか動こうとはしなかった。

心に芽生えた感情に、俺自身が気づいてしまった。


あとがき
うわぁ〜「v」な話になっちゃいましたよ…
自分で書いてて恥ずかしい///
今後のシャインに注目ですね(^^)
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