想イデ-1-An introductory chapter〜序章〜

「あなたは何がしたいのですか?」

その男はいった。

「なぜ、こんな事をしているのですか?」

その男は問いただした。

俺が目を開けた先にあったのは、恐怖。
その中にその男はいた。


日はすでに沈み、町から離れたこの場所ではやたら暗く感じる。
そう、俺の心のように。

何がしたいのか、何でしているのかなんて分らない。
ただ、心の奥から出てくる感情が抑えられないんだ。
いつもとは違う、混沌としたこの感情が…


男はじっと見つめ、答えを待っている。


答える理由なんてない。
『答え』がないのだから。


気がつくと、俺は男に攻撃していた。
しかし俺の放った衝撃波は男の前であっさり砕け、消える。

「…っ!」

アイツは一体…
その続きは口によって伝えられた。

「アンタ、何者だ?」
「私はただの魔法士ですよ」

その時俺は、嫌な予感と共にその場から離れた。
しかし、男が見せた笑みに、その反応が遅れる。
そして…

「クラウザ様!」

男の後ろから、一人の女が走り寄る。

「テリア、けが人はどうでしたか?」
「はい。幸い怪我も軽くて、私の治癒で治りました。これから家まで送ろうと思います」

テリアと呼ばれた女はしっかりとした口調で答えた。

「ありがとう、そうして下さい。私はこの青年を家に運びますから」
「…!えっ…?」

その女は驚きを隠せないでいた。
クラウザが目を向けた先━地面に倒れている青年の背中には片翼が生えていた。


そして俺は、夢の中へと誘い込まれた。

あとがき
さあシャインの過去話の始まりです。
私自身小説を書くのは久々なんで、分りにくいところがあるかと…
さて、シャインはどんな過去を送ってきたのでしょうか?
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